コラム

本が売れないのはなぜ?

 本や雑誌が相変わらず売れず、書店も版元も編プロも困っている。どうすれば本や雑誌が売れるようになるのか、皆、知恵を絞っているが、今のところ改善の兆しはなさそうだ。昔、かなりお世話になった大宅文庫も存続の危機に瀕しているらしい。
 本も雑誌も文化である。突然だけれど、文化は景気がよいときに華やかになる。元禄文化も大正モダンも高度成長期の三種の神器もバブル時代のジュリアナも経済成長とともにあったと思う。経済成長を、ゆるやかなインフレ時代と言い換えてもいい。
 つまり、私が言いたいのは、こうだ。20年以上に及ぶデフレ時代にあって、本が売れないのは当然である。皆、文化を楽しむ余裕などないのだ。給料が増え、休日が増え、ゆとりが得られたとき、人々は文化に目を向けるだろう。ほとんどのマスコミは、そのことが分からない。
 アベノミクスは失敗だと新聞も雑誌も金切り声で叫んでいる。英国のEU離脱などもあるから、先のことはわからないが、失敗であると断じるのは時期尚早だ。失業率は確実に下がっているし、それとともに賃金は上がり続けている。金融緩和は確実に成果を上げているのだ。この状況がさらによくなれば、人々には余裕が生まれ、文化を楽しむようになり、やがて本や雑誌も売れるようになるのではないかと、私は淡い期待を抱いている。なのに新聞の多くは、インフレが悪であるかのように騒ぐ。民進党や共産党も騒ぐ。今回の参院選で自民党が勝ったのをみると、経済が重要であるということを、多くの人がわかり始めているだろう。未来に少しは期待が持てそうだ。
 問題は、人材確保ができず、賃金が上がって制作費が下がる中で、その日が来るのを待ち続けられるかどうかだ。版元も編プロも試練のときを迎えている。

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