コラム

中小・零細企業の味方を

 若かりし頃、新聞社で働いていた時期があった。新聞社といえば、普通のサラリーマンとは全く違うと思っていたが、普通のサラリーマンと全く同じでがっかりした。今さらながらに、あの頃のことを思い出す。
 もう少し、最近の報道はどうにかならんのか。あの頃の欠点が年月とともにさらに強固になったようで、不快である。もう新聞は読まんのだけれど、それでも否応なくテレビのニュースは耳に入る。
 やれ、物価が上がった、給料は上がらない、株価の乱調は経済政策の失敗だなどなど。。。
 株価が上下するのは当たり前だし、一儲けたくらむ人が積極的に売買した結果だろう。それで損する人がいても、もともと金持ちなんだから、さほど気にすることはない。7000円台から12000円台になったんだから、うだうだ言っても仕方ないでしょう?
 給料が上がらず物価だけが上がるという新聞論調も気にくわない。バーナンキが金融緩和をしてから3年たって、ようやく米国景気が上向いている。日本の金融緩和は異次元とはいっても、リーマンショック後の米国の金融緩和に比べれば小規模だし、まだ半年しかたっていない。それに、上場企業の給料が上がったから、どうだというのだ。もともと普通のサラリーマンよりはるかに高給なのだから、今より上げる必要はない。
 それよりも、あらゆる製造業やサービス業が下請けに支払う外注費の単価を上げるべきと報道すべきだ。そうすれば中小企業が潤い、そこで働く人々の給料も上がる。裾野の広さでいえば、大企業の給料を上げることよりも効果があるのではないか。
 記者はほとんどが高給取りで、社会がどのように動いているのか、ほとんど知らない。弱い人の味方のように振る舞いたいなら、大企業や政治家、官僚などを追求し、経済や経営について勉強して、正しい道筋を示したらどうか。
 デフレの被害を最も強く受けているのは、弱い立場の中小企業や、そこで働く人々である。大企業の利益と社員を守るために、中小・零細企業が犠牲になっているのだ。その仕組みを記者たちは、まるで分かっていない。
 最近、新聞やテレビは「官報」と悪口を言われているけれど、まぁ、私の時代も、役所からもらったペーパーで書くと上司から何も言われなかったからね。腕のいい奴は、皆そうしていた。今になって反省しています。
 それはともかく、今からでも遅くはない。株が上がった下がったと騒ぐのではなく、もっと庶民に近いところで経済・産業政策の是非を問うてほしい。間違っても、輸入価格が上がって零細工場は大変だ、なんて報道はしないでね。上昇分を価格に転嫁できれば、なんということはないのだから。

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